日本国内に銀行口座がない場合でも、納付する方法はいくつかあります。
この記事では、それぞれの方法の条件と注意点を整理します。
目次
1. 選べる納付方法の一覧——国内在住と海外在住の違い
相続税は、日本国内に住所がなくても納める義務があります。
国内に住んでいる場合と、海外に住んでいる場合とで、実際に選べる方法は変わってきます。
| 方法 | 国内在住の場合 | 海外在住の場合 |
| 窓口・金融機関での現金納付 | いつでも使える | 一時帰国のタイミングに限られる |
| ダイレクト納付(e-Taxの口座振替) | 事前登録すれば手数料無料で使える | 本人名義の日本国内口座があれば、海外からでも登録・納付指図が可能 |
| クレジットカード納付 | 誰でもオンラインで使える(1,000万円未満) | 日本の口座が無くても利用できる。海外発行カードが使えるかはカード会社に確認 |
| 銀行振込→納税管理人・家族による代理納付 | 通常は使わない(他の方法で足りるため) | 日本国内の口座・家族・納税管理人がいれば利用可。海外送金の着金日数に注意 |
| コンビニ納付(バーコード付き納付書) | 30万円以下なら使える | 日本に来ていないと使えない |
海外在住で最も使いやすいのはクレジットカード納付ですが、上限(1,000万円未満)があります。
日本国内に自分名義の口座を残している場合は、手数料のかからないダイレクト納付という選択肢もあります。
この表には入りませんが、日本国内に口座が一切なくても使える「国外からの送金による納付」という制度もあります(4章で説明します)。
次の章から、それぞれを詳しく見ていきます。
2. クレジットカード納付を詳しく
相続税は、クレジットカード納付の対象税目に含まれています。
利用できるのは、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubのいずれかのマークが付いたカードです(同上、Q2-1)。
手続きは「国税クレジットカードお支払サイト」を通じたインターネット手続きに限られ、金融機関・コンビニ・税務署の窓口では利用できません(同上、Q1-7)。
海外発行のカードが実際に使えるかどうかは、カード会社への確認が必要です。
3. 銀行口座を使う方法——ダイレクト納付と代理納付
クレジットカード納付の上限(1,000万円)を超える場合は、銀行口座を使う方法になります。
「自分名義の口座を使う方法」と「家族・納税管理人の口座を使う方法」の2通りがあります。
自分名義の口座が日本にあるなら、ダイレクト納付
ダイレクト納付は、e-Taxで申告書を提出したあと、本人名義の日本国内の預貯金口座から口座振替で納付する方法です(国税庁「G-2-2 ダイレクト納付の手続」)。
相続税も対象で、手数料はかかりません(同上)。
クレジットカード納付のような1,000万円の上限もありません。
ただし「ご自身以外の預貯金口座を利用することはできません」とされており、本人名義の口座に限られます(同上)。
利用にはe-Taxの利用開始手続と事前の届出が必要で、オンライン提出でも利用可能になるまで1週間程度、書面提出だと1か月程度かかります(同上)。
海外に住んでいても、日本を出る前に開設した自分名義の口座が残っていれば、この方法が使えます。
税理士が代わりに納付手続きを行うことも可能です(同上)。
自分名義の口座がない場合は、日本在住の家族・納税管理人の口座を経由する方法になります。
相続税の申告書の作成が終わり、金額が確定した段階で動く。
ご自身の日本国内口座、または納税管理人・家族の口座。
着金までに数日かかることがあるため、納期限から逆算して早めに手配する。
ご自身の口座なら振替納税・窓口納付等、代理人の口座なら代理人が納付する。
海外送金は、着金までの日数を見込んでおく
海外からの送金は、国内の振込と違って即日には着金しません。
金融機関によるマネーロンダリング対策の確認が入ることもあり、通常より時間がかかる場合があります。
納期限の直前に送金を始めると、間に合わないおそれがあります。
家族の口座を経由するときは、記録を残す
日本在住の家族に立て替えて納付してもらう場合、精算の記録が残っていないと、贈与とみなされるおそれがあります。
送金の経緯や精算の事実が分かるよう、記録を残しておくことをおすすめします。
相続税申告をご依頼いただく場合、私たち自身が納税管理人としてこの窓口を引き受けることもできます。
4. 国外からの送金による納付——口座も家族も不要な方法
令和4年1月4日から、国外の金融機関から直接、日本の国税を送金して納付できる制度が始まりました。
日本国内の銀行口座も、家族や納税管理人の口座も使わずに、ご自身で完結できる方法です。
相続税を含む、ほぼすべての税目が対象です(同上)。
東京国税局の代表番号(03-3542-2111)へ電話し、「国外納付専用窓口」宛てと伝える。対応は日本時間8時30分〜17時(土日祝を除く)。
送金は円貨建てで行う。送金にかかる手数料はすべて納税者の負担。
国外の金融機関を通じて送金したことが分かる書類を提出する。
手元に届くまで、おおむね2〜3週間程度かかる。
すべての手数料が自己負担になる点、事前連絡から領収証書到着まで日数がかかる点には注意が必要です(同上)。
申告期限ぎりぎりでは間に合わない可能性があるため、早めに動く必要があります。
納付する税目・金額が分からない場合は、事前に所轄の税務署へ確認するよう案内されています(同上)。
5. 一時帰国して窓口で納付する
一時的に日本へ帰国する予定がある場合は、金融機関や税務署の窓口で現金により納付することもできます。
この方法であれば、日本の口座やクレジットカードを用意する必要がありません。
ただし、帰国のタイミングが納期限に間に合うかどうかに左右されるため、予定が立てにくい方には不向きです。
6. よくある質問
Q. 複数の相続人がいて、それぞれ海外にいます。誰がどう納付すればよいですか?
A. 相続税は、原則として相続人ごとに自分の取得分に応じた税額を納付します。
相続人ごとに、それぞれ都合のよい方法(クレジットカード・銀行振込等)を選んで構いません。
Q. 期限までに納付が間に合いそうにありません。
A. 早めにご相談ください。
延納・物納といった制度もありますが、クレジットカード納付を一度行うと、その分については延納の申請ができなくなります。
どの方法を選ぶかは、期限までの時間から逆算して決める必要があります。
Q. 決済手数料や振込手数料は、相続税の計算に含められますか?
A. いいえ。
決済手数料・振込手数料は、相続税の申告・計算とは別の実費です。
相続財産から差し引くことはできません。
7. 納付方法は、申告の前に決めておきましょう
岐阜県瑞穂市のみずほ会計事務所は、海外在住の相続人がいる相続税申告に積極的に対応いたします。
納付方法の検討も含め、日本側の窓口としてお役に立てます。
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