この記事では、納税管理人とは何か、誰に頼めるか、届出の実務を整理します。
1. 納税管理人とは
納税管理人とは、日本国内に住所がない方に代わって、税務署とのやりとりを行う人のことです。
申告書の提出、書類の受け取り、納税の窓口を担います。
海外在住の相続人がいて、その相続人が日本国内に住所を持たない場合、相続税の申告のために納税管理人を選任します。
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 相続税・贈与税の申告義務があり、日本国内に住所がない人 |
| 届出先 | 被相続人の納税地を所轄する税務署 |
| 提出時期 | 納税管理人を定めたとき、または出国の日まで |
| 法的根拠 | 国税通則法第117条 |
相続税の場合の納税地は、原則として被相続人が亡くなったときの住所地です。
相続人自身の住所地ではない点に注意が必要です。
海外に住む日本人は、この6年で130万人規模を維持しています
2. 届出までの流れ
相続開始後、できるだけ早い段階で必要性を確認しておく。
家族・親族のほか、相続税申告を依頼する税理士に頼むこともできる。
国税庁の様式を使って作成する。
納税管理人を定めたとき、または出国の日までに提出する。
3. 誰に頼めるか
納税管理人になるのに資格は要りません
納税管理人になるための資格試験や登録は必要ありません。
日本国内に住所があれば、家族や親族でも引き受けられます。
相続税申告を依頼する税理士に、納税管理人も任せられます
相続税申告を税理士に依頼する場合、その税理士自身が納税管理人を引き受けることもできます。
申告書の作成と税務署とのやり取りが1本化されるため、海外在住の相続人にとっては窓口が1つで済みます。
4. 実務でよく見る、3つの見落とし
出国してから、慌てて選任することになるケース
納税管理人は、相続が起きる前から準備しておくものではありません。
ただし、相続人本人がこれから海外へ引っ越す場合は、出国の日までに届け出る必要があります。
「そのうちでいい」と後回しにして、出国直前に慌てて手続きするケースをよく見ます。
「納税地」を、相続人自身の住所と勘違いするケース
納税管理人届出書の提出先は、相続人が住んでいる場所ではありません。
被相続人(亡くなった方)が最後に住んでいた住所地を所轄する税務署です。
ここを取り違えると、書類を出し直すことになります。
相続税の申告書と同時に出せばよい、という誤解
納税管理人届出書は、相続税の申告書とは別の書類です。
国税庁の案内では「納税管理人を定めたとき又は出国の日までに」提出するとされており、申告書の提出時期まで待つ必要はありません(国税庁、同上)。
決まった時点で早めに提出しておくと、税務署とのやり取りがそのぶんスムーズになります。
5. よくある質問
Q. 納税管理人を届け出ないとどうなりますか?
A. 届出がないと、税務署からの書類の送付先が定まらず、申告手続きが滞る原因になります。
相続税の申告書提出までには済ませておく必要があります。
Q. 相続人が複数いて、住んでいる国もばらばらです。納税管理人は1人にまとめられますか?
A. 相続人ごとに選任することも、代表者1人にまとめることも可能です。
状況に応じて、申告を依頼する税理士とご相談ください。
Q. 納税管理人を解任・変更したい場合はどうすればよいですか?
A. 新しい届出書を提出すれば、以前の届出は入れ替わります。
あらためて選任・解任の届出が必要です。
Q. 帰国して日本に住所を持てば、納税管理人は不要になりますか?
A. はい。
日本国内に住所ができれば、納税管理人を選任する前提そのものがなくなります。
解任の届出を忘れずに行ってください。
6. 海外にいても、日本側の窓口は必要です
岐阜県瑞穂市のみずほ会計事務所は、海外在住の相続人がいる相続税申告に積極的に対応いたします。
納税管理人の選任・届出も含め、日本側の窓口としてお役に立てます。