目次
1. 相続税は自分で申告できるのか
結論から言うと、相続税の申告は税理士に依頼せず、相続人自身で行うことも制度上は可能です。国税庁のホームページには申告書の様式や記載例も公開されており、財産の内容がシンプルであれば、実際に自分で申告を済ませている方もいます。
ただし実際のデータを見ると、自分で申告する方は少数派です。財務省が公表した「令和4年度国税庁実績評価書」によれば、相続税の税理士関与割合は85.9%とされています。
2. 自分で申告する場合
預貯金のように金額がそのまま分かる財産と違い、土地・非上場株式などは「評価」という作業が必要です。評価方法にはいくつもの計算パターンがあり、どの方法を選ぶかによって評価額が変わります。また、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など、要件を満たせば大きく税額を下げられる特例がいくつもありますが、存在を知らなければ当然使えません。戸籍の収集、財産の調査、評価計算、申告書の作成と、想像以上に工程が多く、申告期限(10ヶ月)内に慣れない作業を進めることになります。
3. 専門家に依頼する場合
土地がなく財産が預貯金中心のシンプルなケースであれば、申告書の作成自体は自分で行い、土地がある場合だけ評価をセカンドオピニオンとして確認してもらう、という部分的な依頼の仕方も可能です。
4. 【比較表】自分で申告する場合と専門家に依頼する場合
| 自分で申告する場合 | 専門家に依頼する場合 | |
| 費用 | かからない | 報酬がかかる(財産規模により変動) |
| 土地の評価 | 減額要素を見落としやすい | 個別の事情を反映して評価できる |
| 特例の適用 | 存在を知らないと使えない | 該当する特例を確認してもらえる |
| かかる時間 | 戸籍収集から申告書作成まで全て自分で行う | 資料収集の代行等も依頼できる |
| 申告後の税務調査リスク | 評価の誤りを指摘される可能性がある | 専門家の関与で指摘リスクが下がる傾向 |
5. 【3つの質問】どちらにするか、順番に整理する
自分でやるか専門家に頼むかを一度に決めようとせず、次の順番で確認していくと判断がつきやすくなります。
財産に土地は含まれますか?
預貯金だけであれば自分で申告することも十分現実的です。土地が含まれる場合は、評価だけでも専門家に確認することをお勧めします。
使える特例を把握できていますか?
小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、未成年者控除・障害者控除など、該当する可能性のある特例に心当たりがなければ、一度専門家に確認だけでもしておくと安心です。
申告期限までに時間をかけられますか?
戸籍の収集から申告書の作成まで、慣れない作業を10ヶ月以内に進める必要があります。仕事や家庭の事情で時間を確保しづらい場合は、資料収集の代行も含めて依頼する方法があります。
6. 判断を誤りやすいポイント
財産がシンプルだと思い込んでいたが、実は土地の評価が複雑だった
「自宅と預貯金だけだから簡単」と思っていても、自宅の土地の形状によっては評価が複雑になることがあります。
特例を使わずに申告してしまい、後から気づく
本来使えたはずの特例に気づかないまま申告し、期限後に気づいても手続きが煩雑になることがあります。
申告後、税務調査で評価の誤りを指摘される
自分で行った評価に誤りがあると、税務調査で指摘され、追加の税額や加算税が発生することがあります。
7. よくある質問
Q. 財産が預貯金だけの場合でも、専門家に相談した方がいいですか?
A. 預貯金のみで金額も明確な場合は、ご自身での申告も十分現実的です。ただし特例の該当有無は確認されることをお勧めします。
Q. 申告書の作成だけ手伝ってもらう、といった部分的な依頼はできますか?
A. 土地の評価だけ、特例の該当確認だけ、といった部分的なご相談も承っています。まずはどこまでご自身でできそうか、お気軽にご相談ください。
Q. 自分で申告した後に、間違いに気づいた場合はどうすればいいですか?
A. 税額が少なすぎた場合は「修正申告」、多すぎた場合は「更正の請求」という手続きがあります。詳しくは相続税の修正申告のコラムもご覧ください。
Q. 専門家に頼むと、必ず費用倒れになりませんか?
A. 財産の内容や評価の見直しの余地によっては、報酬を差し引いても総額で有利になる場合があります。まずは概算の見積もりをご相談いただくことをお勧めします。
8. 土地があるかどうかで、判断は大きく変わります
依頼するかどうかを決めてからご相談いただく必要はありません。まだ何も決まっていない段階でお越しいただくのが、いちばんお役に立てるタイミングです。当事務所は岐阜県瑞穂市を拠点に、部分的な確認から申告書全体の作成まで承っています。対応できる内容はサービス・料金のページでもご案内しています。