目次
1. 何が問題になるのか、主に「名義預金」
相続税の税務調査で最も指摘されやすいのは、名義預金です。名義預金とは、口座の名義は配偶者や子どもになっているものの、実質的には被相続人が管理していた(お金の出所が被相続人であった)預金のことです。「家族名義だから相続財産ではない」という思い込みは、税務調査で最も見られやすい落とし穴です。
2. 【統計】実際にどのくらい指摘されているのか
国税庁が公表している「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、令和6事務年度(2024年7月〜2025年6月)に行われた相続税の実地調査は9,512件、このうち申告漏れなどの非違があった件数は7,826件で、非違割合は82.3%にのぼりました。
実地調査1件あたりの申告漏れ課税価格は平均3,208万円、加算税を含む追徴税額の総額は824億円にのぼります。また、そもそも申告自体をしていなかった「無申告事案」への実地調査も650件行われ、追徴税額は142億円でした。この数字が示すのは、「実地調査の対象になった場合、何らかの指摘を受ける割合はかなり高い」ということです。
3. 指摘される・されないの分かれ目
裏を返せば、申告内容の正確性を最初から高めておくことが、調査そのものを避ける一番の近道と言えます。指摘されやすい財産には共通する傾向があります。名義預金(家族名義でも実質的に被相続人の財産とみなされる預金)、生命保険金・退職金(非課税枠はあるが申告自体が漏れているケース)、名義株式(同族会社の株式が家族名義になっているが実質的な所有者は被相続人だったケース)の3つが代表的です。
4. 【自己点検】あなたの申告はどうか
次のうち当てはまるものがあれば、一度確認しておくことをお勧めします。
家族名義の口座があり、贈与の記録(契約書・申告)が残っていない
お金の出所が被相続人であれば、家族名義でも相続財産(名義預金)とみなされる可能性があります。
生命保険金・退職金を受け取ったが、申告書に記載したか自信がない
非課税枠があるからと申告自体を省略してしまうと、申告漏れとして指摘される対象になります。
同族会社の株式が家族名義になっている
名義人と実質的な所有者(出資・議決権行使の実態)が異なる場合、名義株式として指摘される可能性があります。
5. もう当てはまってしまっている場合にできること
心当たりがあっても、慌てる必要はありません。税務署からの事前通知の前に、自主的に見直し・修正申告をする方が、負担が軽くなる場合があります。修正申告の加算税・延滞税の考え方は相続税の修正申告についてのコラムもあわせてご覧ください。すでに税務調査の連絡が来ている場合は、次の順番で対応することをお勧めします。
まず税理士に連絡する
申告を担当した税理士がいればすぐに連絡します。他の事務所や自分で申告した場合でも、新たに税理士に依頼して立ち会ってもらうことができます。
日程調整を一人で判断しない
調査の日程は税理士と相談しながら決めるのが安心です。準備の時間を確保するためにも、連絡を受けてすぐにその場で日程を確定させる必要はありません。
通帳・関連書類を整理しておく
過去の預金の動き、生命保険の契約内容などを確認できる資料を整理しておくと、調査当日の説明がスムーズになります。
6. よくある質問
Q. 他の事務所で申告した内容でも、税務調査対応を依頼できますか?
A. はい、対応可能です。申告書の内容を拝見した上で、事前準備・当日の立ち会い・調査後の対応まで承ります。税務調査対応サポートについて詳しくはこちら
Q. 名義預金と判断されないためにできる対策はありますか?
A. 生前贈与を行う際に贈与契約書を作成する、贈与税の申告が必要な金額であれば申告をしておく、口座の管理・利用を実際に受贈者本人が行うなど、贈与の事実を客観的に示せるようにしておくことが有効です(個別の状況によるため要確認)。
Q. 税務調査はいつ頃連絡が来ますか?
A. 一般的には申告から1〜2年後に実地調査が行われることが多いとされていますが、時期は案件によって異なります。
Q. 税務調査の連絡が来たら、必ず立ち会わなければなりませんか?
A. ご本人の立ち会いが基本ですが、税理士に依頼している場合は税理士が同席して対応にあたります。事情により立ち会いが難しい場合は、事前にご相談ください。
7. 指摘の有無より、そのときにどう動くかで結果が変わります
調査の連絡が来てからご相談いただいても遅くはありません。まだ何も整理していない段階でお越しいただくのが、いちばんお役に立てるタイミングです。当事務所は岐阜県瑞穂市を拠点に、他事務所で申告された内容の税務調査対応も承っています。対応できる内容はサービス・料金のページでもご案内しています。