光秀さん × 江尾先生父が亡くなった直後の、最初の相続相談

光秀さん光秀さん
父が亡くなって、相続税のことが気になって来たんですが……。何から始めたらいいのか、全く分からなくて。
江尾先生江尾先生
分かりました。まずは税金の計算ではなく、お父さんの相続全体を順番に整理してみましょう。
光秀さん光秀さん
相続税の相談でも、最初は税金の話ではないんですね。
江尾先生江尾先生
はい。まず「何を残されたのか」「誰が相続人なのか」「誰が何を引き継ぐのか」を確認します。相続税は、その後に考えます。
光秀さん光秀さん
相続というのは、相続税よりずっと広い話なんですね。
江尾先生江尾先生
そうです。相続は、亡くなった方が残した財産などを相続人が引き継ぐことです。図で見ると、こういうイメージです。

何を引き継ぐの?
光秀さん光秀さん
父には預金と家、それに田んぼがあります。そういうものを全部調べるんですか?
江尾先生江尾先生
はい。預金、土地、建物、株、車など、まず「何があるのか」を一つずつ確認します。
光秀さん光秀さん
金額まで全部分かっていないと駄目ですか?
江尾先生江尾先生
最初から正確な金額が分からなくても大丈夫です。通帳が何冊あるか、不動産がどこにあるか、証券会社から書類が来ていないか。手元の資料から全体像を作っていきます。
光秀さん光秀さん
父が自分で管理していたので、私が知らないものもありそうです。
江尾先生江尾先生
そういうケースは珍しくありません。家にある書類や郵便物を見ながら、漏れがないように確認していきます。
江尾先生江尾先生
それと、財産はプラスのものだけではありません。借入金や未払金など、マイナスのものも一緒に確認します。
光秀さん光秀さん
借金まで相続に関係するんですか。
江尾先生江尾先生
そうなんです。プラスだけを見るのではなく、お父さんが残したもの全体を確認する必要があります。こちらの図を見ると分かりやすいですよ。

光秀さん光秀さん
預金や土地だけ見ればいいわけではないんですね。
補足:借金が多そうなときは?
相続しない「相続放棄」を検討する場合があります。原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で手続きします。
借金や保証債務がありそうな場合は、早めに専門家へ確認するのが安全です。
相続人は、どうやって確認するの?
江尾先生江尾先生
そういえば、財産を確認するのと同じように、もう一つ「確定」しておくものがあります。相続人です。
光秀さん光秀さん
相続人なら、母と兄と姉と私ですよね。家族なら分かっていると思うんですが。
江尾先生江尾先生
普段の家族関係としては分かっていても、相続の手続きでは戸籍を確認して、誰が相続人なのかを正式に確定します。相続人は家族で自由に決めるものではなく、法律で決まります。
江尾先生江尾先生
今回なら、お母さんと、お兄さん、光秀さん、お姉さんの4人です。

光秀さん光秀さん
この4人で間違いないことを、戸籍で確認するんですね。
江尾先生江尾先生
はい。お父さんの戸籍を確認して、相続人になる方を漏れなく確認します。銀行の手続きや不動産の名義変更などでも、戸籍関係の書類を使います。
光秀さん光秀さん
亡くなった後に、戸籍まで確認するんですね。
江尾先生江尾先生
そうなんです。手続きによっては住民票など、別の書類が必要になることもあります。相続は税金の計算だけではなく、こういう確認作業や書類集めも結構あります。
光秀さん光秀さん
財産を調べて、戸籍も確認して……。手続きを始める前の準備だけでも思っていたより多いですね。
江尾先生江尾先生
はい。ただし、相続放棄や相続税の申告など、期限のある手続きもあります。全部を一度に片付ける必要はありませんが、まずは早めに全体像を確認しておくことが大切です。
補足:相続人になる順番を見る
配偶者は常に相続人です。そのうえで、子、子がいなければ父母などの直系尊属、それもいなければ兄弟姉妹という順番があります。
遺言書はある?
光秀さん光秀さん
相続人が4人だと分かったら、次は4人で分け方を決めるんですか?
江尾先生江尾先生
その前に、遺言書がないかを確認します。遺言書があるかどうかで、その後の進め方が変わります。
光秀さん光秀さん
そういえば、父が遺言書を作っていたかどうかも分かりません。
江尾先生江尾先生
まずは自宅に保管されていないかなどを確認しましょう。見つからないからといって、すぐに「ない」と決めつけないことも大切です。
光秀さん光秀さん
財産や戸籍だけではなく、遺言書の確認も必要なんですね。
誰が何を引き継ぐの?
光秀さん光秀さん
遺言書を確認したら、次は父の財産を誰が引き継ぐか決めるんですね。
江尾先生江尾先生
はい。遺言書がなければ、相続人全員で話し合って分け方を決めます。必ず4等分というわけではありません。
お母さんお母さん
私は、この家に住み続けたいわ。
お兄さんお兄さん
田んぼは、自分が引き継ぐ形も考えられるね。
お姉さんお姉さん
預金もあるし、全部を見てから決めたいね。
光秀さん光秀さん
こうやって、家族それぞれの事情を出しながら決めるんですね。
江尾先生江尾先生
はい。誰か一人で決めるのではなく、財産や借金の全体を確認したうえで、相続人全員で話し合います。
光秀さん光秀さん
分け方が決まったら、それで相続は終わりですか?
江尾先生江尾先生
その後に、預金の解約や名義変更、不動産の名義変更など、実際に引き継ぐための手続きがあります。
補足:遺言書や法定相続分を詳しく見る
遺言書がある場合はまず内容を確認します。遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割を話し合います。
法律上の目安となる「法定相続分」はありますが、遺産分割では必ずその割合どおりに分ける必要はありません。
今日から、何をすればいい?
光秀さん光秀さん
聞いていると、やることがかなりありますね。今の私が最初にやることは何ですか?
江尾先生江尾先生
まずは家にある資料を探してみてください。通帳、固定資産税の通知書、証券会社や保険会社の書類、借入の書類、遺言書などです。
光秀さん光秀さん
戸籍や住民票も、今すぐ全部そろえた方がいいですか?
江尾先生江尾先生
最初から全部そろえる必要はありません。まず手元にある資料を確認して、必要な戸籍やその他の書類は、手続きを進めながら整理していけば大丈夫です。

光秀さん光秀さん
それなら、今日からできそうです。見つかった資料を持って相談すればいいんですね。
江尾先生江尾先生
はい。資料を見ながら財産の全体と相続人を整理して、そのうえで「お父さんの相続で、相続税の申告が必要なのか」を確認します。
江尾先生江尾先生
今日の段階では、まず「何があるのか」「誰が相続人なのか」「遺言書があるのか」。この3つが見えてくれば十分です。
光秀さん光秀さん
まずその3つを確認して、それから相続税が必要かを見るんですね。
江尾先生江尾先生
はい。そのうえで、お父さんの相続で相続税の申告が必要なのかを確認していきます。
光秀さん光秀さん
相続したら、誰でも相続税を払うわけではないんですか?
SECTION 02
相続税って何?
全員にかかる税金ではありません。光秀さんの家族を例に、「自分の場合は申告が必要なのか」を順番に見ていきます。
相続税は、全員にかかるの?
光秀さん光秀さん
相続のことは少し分かってきました。でも、結局、相続税はうちにもかかるんでしょうか?
江尾先生江尾先生
相続税は、相続があった人全員にかかるわけではないんです。
光秀さん光秀さん
そうなんですか。父が亡くなったので、相続税も払うものだと思っていました。
江尾先生江尾先生
実際には、相続税の申告が必要になる相続は全体の一部です。感覚としては、10人に1人くらいです。
光秀さん光秀さん
じゃあ、うちも相続税がかからない可能性はあるんですね。
江尾先生江尾先生
あります。ただ、今の段階ではまだ分かりません。お父さんの財産がどのくらいあるのかを確認して、初めて判断できます。
光秀さん光秀さん
何を基準に見ればいいんですか?

いくらまでなら、相続税はかからないの?
江尾先生江尾先生
ここからは、相続税の金額の考え方を見てみましょう。沖田先生にも一緒に説明してもらいますね。
沖田先生沖田先生
よろしくお願いします。相続税には、「ここまでは相続税をかけません」という金額があります。
光秀さん光秀さん
そういう金額が決まっているんですか?
沖田先生沖田先生
はい。「基礎控除」といいます。金額は、相続する人の人数によって変わります。
光秀さん光秀さん
どの家庭でも同じ金額ではないんですね。
江尾先生江尾先生
光秀さんのお父さんの場合は、お母さん、お兄さん、光秀さん、お姉さんの4人が相続人でしたね。
光秀さん光秀さん
はい、4人です。
沖田先生沖田先生
4人なら、「3,000万円+600万円×4人」で、基礎控除は5,400万円です。
光秀さん光秀さん
じゃあ、まずは父の財産が5,400万円くらいあるかどうかを調べればいいんですね。
江尾先生江尾先生
そうです。ただし、そこで次の疑問が出てきます。その「財産がいくらあるのか」は、預金だけのように簡単には分からないんです。

基礎控除について、もう少し詳しく見る
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
家族関係が複雑な場合などは、誰を人数に含めるか個別の確認が必要になることがあります。このページでは、光秀さんのご家族4人の例で考えます。
財産はいくらで考えるの?
光秀さん光秀さん
預金なら通帳を見れば分かりそうですけど、家や田んぼはどうするんですか?
沖田先生沖田先生
預金は比較的分かりやすいですね。通帳や残高証明などで金額を確認できます。
光秀さん光秀さん
家や田んぼも、売れそうな値段を調べて足せばいいんですか?
沖田先生沖田先生
そこが少し違います。土地や建物は、相続税を計算するときのルールで金額を出します。
江尾先生江尾先生
相続税を計算するために財産の金額を出すことを、「評価する」といいます。
お母さんお母さん
今住んでいるこの家も、金額を出すの?
江尾先生江尾先生
はい。お父さんの財産であれば、自宅も確認します。
お兄さんお兄さん
田んぼなんて、いくらなのか全然分からないけど。
沖田先生沖田先生
田んぼも確認します。ただ、売れそうな値段をそのまま使うわけではありません。土地の種類や状況を確認して、相続税のルールに沿って評価します。
光秀さん光秀さん
5,400万円という目安は分かっても、そこに当てはめる父の財産の金額を出さないと、結局うちに相続税がかかるかは分からないんですね。
江尾先生江尾先生
そのとおりです。だから、「相続税がかかるかどうか」を確認するところから、財産を調べて評価する必要があるんです。

財産の評価について、もう少し詳しく見る
財産の種類によって、相続税の計算に使う金額の出し方は異なります。預金は残高を確認し、土地や建物、株式などはそれぞれのルールで評価します。
ここでは計算方法を覚える必要はありません。「売れそうな値段を全部足せば終わり、ではない」と分かれば十分です。
10か月で何をするの?
光秀さん光秀さん
財産を全部調べて、土地の金額も出して、それから相続税を計算するんですよね。いつまでにやるんですか?
江尾先生江尾先生
相続税の申告と納税は、原則として10か月以内です。
光秀さん光秀さん
10か月なら、かなり時間があるようにも感じますけど。
沖田先生沖田先生
そう感じる方は多いです。でも、その10か月は申告書を書くためだけの10か月ではないんです。
江尾先生江尾先生
まず、誰が相続人なのかを確認する。
沖田先生沖田先生
次に、どんな財産があるのかを調べる。
江尾先生江尾先生
土地など、金額がそのまま分からない財産を評価する。
沖田先生沖田先生
そして、ご家族で誰が何を引き継ぐのかを決める。
江尾先生江尾先生
その結果をもとに相続税を計算する。
沖田先生沖田先生
最後に、申告して、必要な相続税を納めます。
光秀さん光秀さん
10か月というのは、税金の計算だけをする期間じゃないんですね。
江尾先生江尾先生
そうなんです。財産を調べて、金額を出して、ご家族で分け方を決めて、その先に申告があります。

相続税が必要かどうかは、財産を調べて評価して、初めて見えてきます。
光秀さん光秀さん
最初は、相続税がかかるかどうかだけ分かればいいと思っていました。でも、それを知るためにも、まず財産を調べて、土地なんかは金額を出す必要があるんですね。
江尾先生江尾先生
はい。そこまで確認して、初めて「申告が必要なのか」「相続税がどのくらいになるのか」が見えてきます。
光秀さん光秀さん
それなら、自分たちで調べて申告することもできるんですか?
SECTION 03
みずほ会計事務所って何?
相続税申告は自分でもできます。そのうえで、税理士に頼むと何が変わるのかを、実際の作業に沿って見ていきます。
相続税申告は、自分でもできるの?
光秀さん光秀さん
さっきの続きなんですが、相続税の申告は、自分たちだけですることもできるんですか?
江尾先生江尾先生
はい。できます。相続税申告は、必ず税理士に依頼しなければならないものではありません。
光秀さん光秀さん
それなら、自分でやれば税理士費用もかからないですよね。
沖田先生沖田先生
そうですね。ただ、自分で申告する場合は、財産を調べるところから、評価、税額計算、申告書の作成まで、自分で判断しながら進めることになります。
光秀さん光秀さん
申告書に数字を書くだけ、というわけではないんですね。
江尾先生江尾先生
むしろ、その数字をどうやって出したのか、というところに判断が必要なことが多いんです。

江尾先生も、自分で申告したことがあるの?
沖田先生沖田先生
実は、江尾先生も税理士になる前に、自分で相続税申告をした経験があるんですよ。
光秀さん光秀さん
先生もですか?
江尾先生江尾先生
はい。25歳の時に、祖母の相続で自分で申告しました。もちろん、その頃はまだ税理士ではありません。
光秀さん光秀さん
今の先生なら簡単そうですけど、その頃はどうだったんですか?
江尾先生江尾先生
分からないことばかりでした。必要な資料を調べたり、この土地はいくらで考えるのか、使える制度はあるのか、と一つずつ確認しながら進めました。
沖田先生沖田先生
今は説明する側の江尾先生も、最初は「何を調べればいいのか」から始めているんです。
江尾先生江尾先生
申告書を作ること自体より、「この財産をどう扱うのか」を自分で判断するところが難しかったですね。

自分で申告すると、何が難しいの?
光秀さん光秀さん
自分で申告して、計算を間違えたらどうなるんですか?
江尾先生江尾先生
少なく計算していれば、あとで修正して追加で納めることがあります。逆に、財産を高く評価しすぎて、必要以上に税金を払ってしまうこともあります。
沖田先生沖田先生
特に土地は、場所だけでなく、形や使われ方などを確認して評価します。自分で判断すると、「念のため高めに」と考えてしまうこともあります。
光秀さん光秀さん
じゃあ、税理士に頼むのは、相続税を安くするためなんですか?
江尾先生江尾先生
「安くすること」そのものが目的ではありません。資料と事実を確認して、税法のルールに沿って適正な金額で申告することが目的です。
江尾先生江尾先生
その結果、自分で高く評価していた場合には税額が下がることもありますし、逆に見落としていた財産が見つかれば税額が増えることもあります。
光秀さん光秀さん
税理士費用だけを見て、自分でやった方が得とは言い切れないんですね。
沖田先生沖田先生
そういうことです。費用だけでなく、評価や申告まで含めた全体で考える必要があります。

税理士は、相続で何をしてくれるの?
光秀さん光秀さん
では、税理士にお願いすると、具体的には何をしてくれるんですか?
江尾先生江尾先生
大きく分けると、4つです。まず「調べる」。いただいた通帳や固定資産税の資料などを確認して、申告に必要な財産や資料を整理します。
沖田先生沖田先生
次が「評価する」。土地などを、相続税のルールに沿って評価します。
江尾先生江尾先生
3つ目が「整理する」。誰が何を相続するのかを確認しながら、相続内容と税額を整理します。
沖田先生沖田先生
最後が「申告する」。申告書を作成して、申告・納税までの流れをご案内します。
光秀さん光秀さん
じゃあ、こちらは何もしなくてもいいんですか?
江尾先生江尾先生
そこまではいきません。ご家族にしか分からない財産の手掛かりを教えていただいたり、必要な資料をご用意いただいたりすることはあります。
沖田先生沖田先生
ただ、「次に何をすればいいか分からない」という状態にはしません。必要なものと順番をこちらで整理して、一緒に進めます。

光秀さん光秀さん
最初は、「相続税がかかるか」だけ知りたかったんですが、そこを確認するところから結構やることがあるんですね。
江尾先生江尾先生
そうなんです。だから、最初から依頼するかどうかを決めていなくても大丈夫です。まずは財産の状況を伺って、何を確認すればよいのかを整理するところから始められます。