東京や名古屋など、実家から離れた場所にお住まいの方から、こうしたご質問をよくいただきます。
結論から言うと、答えは一つではありません。
相続する財産の中身によって、有利な選び方が変わります。
目次
1. 結論:財産の中身によって、答えが変わります
預貯金が中心の相続であれば、税理士事務所の場所はそれほど重要ではありません。
一方、農地・山林・複数の土地がある相続では、実家の近く、つまり現地の事情に詳しい税理士に利点があります。
順番に見ていきます。
2. 預貯金が中心なら、距離はそれほど重要ではありません
相続税の申告は、電話・オンライン面談・郵送でのやり取りだけで進められる部分が多くあります。
財産が預貯金や上場株式などで、評価に迷う要素が少ない場合、税理士事務所が近いか遠いかは、手続きの正確さにあまり影響しません。
この場合は、距離よりも、相続税申告の実績や、料金体系の分かりやすさで選ぶ方が失敗しにくいといえます。
3. 農地・山林・複数の土地があるなら、実家の近くに利点があります
農地や山林は、預貯金のように金額がそのまま分かる財産ではありません。
地目(登記上の土地の種類)や、実際の利用状況によって評価の方法が変わります。
農地の納税猶予を使う場合は、地元の農業委員会とのやり取りも必要になります。
これらは、現地の実情を知っている税理士の方が、正確かつスムーズに進めやすい部分です。
距離より、実績と料金の分かりやすさ
評価に迷う要素が少なく、やり取りの多くを電話・オンライン・郵送で進められます。事務所の場所より、相続税申告の実績や報酬体系の明快さを優先して選べます。
現地の実情に詳しいことが利点になる
地目・利用状況の確認、納税猶予での農業委員会とのやり取りなど、現地の実務に慣れているかどうかで、正確さとスピードが変わる場面があります。
4. 岐阜県の相続で、現地の実情が効きやすい理由
岐阜県には、農地や山林を含む相続のご相談が少なくありません。
評価の方法(路線価か、倍率方式か)や、納税猶予が使えるかどうかの判断には、現地の地目・利用状況の確認が欠かせません。
こうした確認は、資料だけを見て遠隔で済ませるより、地元の実情を知る税理士の方が土地勘を活かしやすい部分です。
5. 「実家の近くの税理士」を選ぶときに、実際に確認すべきこと
実家の近くで探す場合も、地元というだけで選ぶのはおすすめしません。
- 農地・山林を含む相続税申告の実績があるか
- 納税猶予制度の取扱い実績があるか
- 農業委員会など、地元の関係先とのやり取りに慣れているか
- 相続人の人数や土地の数で、料金が加算されない明朗な体系か
6. 東京・関東など、遠方にお住まいの場合は
ご自身は東京や関東にお住まいで、実家だけが岐阜にある、という方も少なくありません。
この場合も、農地や土地が絡む相続であれば、岐阜の実情に詳しい税理士に相談する意味があります。
電話・オンラインでのご相談、郵送でのやり取りを組み合わせれば、遠方にお住まいでも手続きは進められます。
くわしくは、東京・関東にお住まいで岐阜に実家がある方向けのご案内もご覧ください。
7. 東京・関東の税理士と、岐阜の税理士。報酬はどう違うか
東京・関東にお住まいの方から、費用面についてもよく質問をいただきます。
実際に料金を公表している東京の相続税専門の税理士法人2社の料金表を確認しました。
法人名は伏せ、T社・V社と表記します。
先に結論からお伝えすると、同じ相続内容で比較した場合、東京の税理士より最大で18万円前後、費用を抑えられるケースがあります。理由は、次の表にある「加算」の有無です。
| T社(東京) | V社(東京) | みずほ会計事務所(岐阜) | |
|---|---|---|---|
| 基本報酬 | 7,000万〜1億円 60.5万円(税込) |
〜1億円 52.8万円(税込) |
10万円+遺産総額×0.6%(税込11万円+0.66%) |
| 相続人加算 | +基本報酬×10%×(人数-1) | +2人目以降1人10%(4人目まで) | ✓なし |
| 土地加算 | +1箇所5.5万円 | +1区画5.5万円 | ✓なし |
| その他 | — | — | ✓なし |
上記の料金表をもとに、遺産総額1億円・相続人4名・土地3区画という一つのケースで計算すると、次のようになります。
都心の税理士事務所は、相続人加算・土地加算などの項目を積み重ねる料金体系のところが多く見られます。
財産が複雑になるほど、加算のない当事務所との差が大きくなる傾向があります。
また、遠隔地の不動産の実地調査のために、別途報酬が発生します。
8. 名義変更などの「分割後の手続き」も、岐阜なら一本化しやすい
相続税の申告が終わっても、不動産の相続登記(名義変更)や、預貯金・証券口座の解約・名義変更など、遺産分割後の手続きが残ります。
これらは司法書士・行政書士が担当する業務で、税理士自身が代行することはできません。
手続きの窓口は、不動産の所在地や口座のある金融機関の管轄など、実務上は岐阜側になることがほとんどです。
東京の税理士に相続税申告を依頼した場合、分割後の手続きは、東京から岐阜の司法書士・行政書士をあらためて探して紹介してもらう形になりやすく、窓口が分かれてしまいます。
岐阜の税理士であれば、地元の司法書士・行政書士とすでに連携していることが多く、申告から分割後の手続きまでを一つの窓口でまとめて進めやすいという利点があります。
当事務所も、遺産分割後の預貯金解約・名義変更や不動産の相続登記について、提携する司法書士・行政書士をご紹介しており、あらためて経緯をご説明いただく手間がかからないようにしています。
9. まとめ
税理士を自分の家の近くで探すか、実家の近くで探すかは、財産の中身で判断してください。
預貯金が中心なら、距離より実績と料金の分かりやすさを。
農地・山林・複数の土地があるなら、現地の実情に詳しい税理士を。
迷う場合は、財産の内容を伺ったうえで、当事務所でお引き受けできるかどうかを正直にお伝えします。
まずはお気軽にご相談ください。